アカウント名:
パスワード:
少年は「不正指令電磁的記録作成・同保管容疑」で逮捕されたとのことですが、この少年が作ったプログラム ransomware.zip は、そもそもzipアーカイブに含まれる「最重要機密」フォルダ(このフォルダ自体がzipアーカイブにサブディレクトリとして含まれており、「最重要機密」というフォルダが既存だったとしても影響しません)の中身しか暗号化しない上、復号手段が用意されており、ランサムウェアとして機能しないことから、単なる暗号化ツールであり、そもそも不正指令電磁的記録に該当しないと解釈すべきだと個人的には思います。
しかし、法制審議会刑事法(ハイテク [takagi-hiromitsu.jp]
通称ウイルス罪の一連の罪の中には、提供罪もあります。提供罪とは、マルウェアを、マルウェアとして使おうとする者に提供する行為が罰せられます。この時にマルウェアの提供を受ける相手は、それがマルウェアであることを当然に認識していますが、提供される客体が不正指令電磁的記録であることは否定されません。そして不正指令電磁的記録である以上、その作成と保管は、作成罪と保管罪に当たることになります。
提供罪の存在を踏まえれば、「人の電子計算機における実行の用に供する目的」や「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせる」における「人」(マルウェアだとは知らない人)とは、作成者から直接供用を受けた人だけでなく、マルウェアだと知る第三者を経て、当該第三者から供用される「人」も含んでいると解釈すべきでしょう。実際に提供罪で処罰するには、提供を受けた相手の存在の立証も必要になるでしょうが、提供罪を適用しなかったとしても、そのことが「不正指令電磁的記録」の該当性に影響する要素は見当たりません。
作成者の作成罪の故意としては、マルウェアだと知る誰かが入手して、マルウェアとして供用しうることを、認識・認容していれば足りると。この点で、被疑者側の無罪主張としては、「簡易なプログラムによる実演と些細なジョークであり、配布目的は検証のためであって、実際にこのプログラムを元にしたものをランサムウェアとして供用する者がいるとは思っていなかった」などとして、第三者を経由した供用の目的や故意を否定することが考えられます。
ツイートを見ると、犯意を肯定してそうな表現、否定してそうな表現の両方があるように感じられ、無罪もありえなくはないように思います。とはいえ、年齢や実害がないことを考えれば、起訴猶予で司法判断がないまま終わりな気もします。
少年事件に起訴猶予は無いんだった。
より多くのコメントがこの議論にあるかもしれませんが、JavaScriptが有効ではない環境を使用している場合、クラシックなコメントシステム(D1)に設定を変更する必要があります。
ソースを見ろ -- ある4桁UID
【冤罪】不正指令電磁的記録作成・同保管の構成要件を満たしていない (スコア:5, 興味深い)
少年は「不正指令電磁的記録作成・同保管容疑」で逮捕されたとのことですが、この少年が作ったプログラム ransomware.zip は、そもそもzipアーカイブに含まれる「最重要機密」フォルダ(このフォルダ自体がzipアーカイブにサブディレクトリとして含まれており、「最重要機密」というフォルダが既存だったとしても影響しません)の中身しか暗号化しない上、復号手段が用意されており、ランサムウェアとして機能しないことから、単なる暗号化ツールであり、そもそも不正指令電磁的記録に該当しないと解釈すべきだと個人的には思います。
しかし、法制審議会刑事法(ハイテク [takagi-hiromitsu.jp]
Re:【冤罪】不正指令電磁的記録作成・同保管の構成要件を満たしていない (スコア:2)
通称ウイルス罪の一連の罪の中には、提供罪もあります。
提供罪とは、マルウェアを、マルウェアとして使おうとする者に提供する行為が罰せられます。
この時にマルウェアの提供を受ける相手は、それがマルウェアであることを当然に認識していますが、提供される客体が不正指令電磁的記録であることは否定されません。
そして不正指令電磁的記録である以上、その作成と保管は、作成罪と保管罪に当たることになります。
提供罪の存在を踏まえれば、「人の電子計算機における実行の用に供する目的」や「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせる」における「人」(マルウェアだとは知らない人)とは、作成者から直接供用を受けた人だけでなく、マルウェアだと知る第三者を経て、当該第三者から供用される「人」も含んでいると解釈すべきでしょう。
実際に提供罪で処罰するには、提供を受けた相手の存在の立証も必要になるでしょうが、提供罪を適用しなかったとしても、そのことが「不正指令電磁的記録」の該当性に影響する要素は見当たりません。
作成者の作成罪の故意としては、マルウェアだと知る誰かが入手して、マルウェアとして供用しうることを、認識・認容していれば足りると。
この点で、被疑者側の無罪主張としては、
「簡易なプログラムによる実演と些細なジョークであり、配布目的は検証のためであって、実際にこのプログラムを元にしたものをランサムウェアとして供用する者がいるとは思っていなかった」
などとして、第三者を経由した供用の目的や故意を否定することが考えられます。
ツイートを見ると、犯意を肯定してそうな表現、否定してそうな表現の両方があるように感じられ、無罪もありえなくはないように思います。
とはいえ、年齢や実害がないことを考えれば、起訴猶予で司法判断がないまま終わりな気もします。
Re:【冤罪】不正指令電磁的記録作成・同保管の構成要件を満たしていない (スコア:2)
少年事件に起訴猶予は無いんだった。